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新しい収益認識会計基準の導入に伴う「税制の改正」

新しい収益認識会計基準の導入に伴う「税制の改正」

平成30年3月30日に、収益認識に関する包括的な会計基準となる「収益認識に関する会計基準」が公表されました。これを受け、税務も対応する形で、平成30年度税制改正において法人税等の改正が行われました。

改正の概要

これまでの収益・費用のアプローチによる実現主義から、資産・負債アプローチ(収益は資産の増加または負債の減少で認識する)による「法律概念としての支配の移転」という収益認識の考え方に転換されます。

法人税における収益の認識について

これまで法令上、明確に規定されていなかった、収益の「金額」、認識の「時期」が、下記のように明確化されました。税務上、特に変更ありません。

◇資産の販売もしくは譲渡または役務の提供に係る収益の認識について法令上の明確化(法人税)

改正前 改正後
「金額」 規定なし 資産の販売または譲渡・・・原則、その販売もしくは譲渡をした資産の『引き渡しの時期における価格』
役務の提供・・・原則、その提供をした役務につき『通常得るべき対価の額』に相当する金額
「時期」 規定なし 原則、『目的物の引渡し』又は『役務の提供』の日の属する事業年度

◇収益の認識のズレ

下図のように、会計では、「貸倒れ及び買戻し」の可能性を想定した上で収益を認識しています。一方、税務では貸倒れや買戻しの可能性はないものとして収益を認識しています。

このように、会計と税務では、収益の認識にズレがでており、法人税法上は会計上の取扱いを容認していません。

また、「値引き及び割戻し」に関しては、会計と法人税は客観的に見積もられた金額を収益の額から控除して収益を認識しています。法人税法上は会計上の取扱いを容認しています。一方、消費税については、実際に値引き等が発生したときに、税額を調整しており、税務のなかでも法人税と消費税では扱いが異なっています。

新しい収益認識会計基準、収益の認識のズレ

企業会計基準における国際会計基準を踏まえた収益認識基準の導入を契機として、法人税における収益認識等についても法令上の明確化が実施されたことは上記の通りですが、ここからは実務上の変更が生じる、「返品調整引当金制度」及び「長期割賦販売における延払基準の選択制度」についてお伝えします。

概要

従来認められていた、返品が予想される商品に関する引当金の計上を行う「返品調整引当金制度」、携帯電話や船舶などで認められた「長期割賦販売等における延払基準の選択制度」は、廃止されます。

返品調整引当金制度の廃止 

出版業など一部の業種において認められている「返品調整引当金制度」を現在適用している法人については、平成33年3月31日までに開始する事業年度までは、現行通り、繰り越し限度額まで引当金の損金算入が認められます。しかしそれ以降は、経過措置を経た上で廃止となることが決まりました。

◇経過措置

平成33年4月1日から平成42年3月31日までの間に開始する各事業年度については、現行法による損金算入限度額に対して 1年毎に10分の1ずつ縮小した額の引当てを認める経過措置が講じられます。

平成42年(2030年)では、返品調整引当金制度は使えなくなります。そこで、会計と税務が一致することとなります。

長期割賦販売等における延払基準の選択制度の廃止

「長期割賦販売等における延払基準の選択制度」を現在適用している法人については、平成35年3月31日までに開始する事業年度については、現行通り、延払基準により収益の額及び費用の額を計算することができます。しかしそれ以後は、経過措置を経た上で廃止となることが決まりました。

◇経過措置

制度廃止に伴い、延払基準の適用をやめた場合、適用をやめた時点における繰延割賦利益額を翌事業年度以降10年均等で収益計上する経過措置が講じられます。いつ適用をやめるかは、法人の任意となります。

繰延割賦利益というのは、今までに行った長期割賦販売において、現時点でまだ入金されていない(収益を認識していない)部分となります。原則としては、延払基準をやめた年に、一気に収益を認識しなければならないのですが、それはあまりに急速であるとのことで、経過措置が設けられました。

ただし、経過措置の期間、入金がない利益に対し課税がされることになりますので、キャッシュフローについては、注意をする必要があります。


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