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待ったなしの新収益認識基準対応

待ったなしの新収益認識基準対応
~いまから間に合わせる対応プロジェクト

3月決算会社(日本基準適用)の場合、2021年4月1日から新収益認識基準が強制適用となりますが、新型コロナウイルスによるリモートワークや非常事態対応により、新収益認識基準への対応プロジェクトについて進捗に遅れが生じている会社も出てきているようです。

監査法人より、2020年3月の段階で、「この3月までに自社の取引内容を整理するように」、あるいは「整理した情報に基づき自社の会計処理方針をまとめるように」、といった「宿題」が出ていたとの話を多数耳にしました。しかし、その後、4月から6月の間に順調に対応プロジェクトが進展したという話は、残念ながら寡聞にしてほとんど聞こえてきておりません。

四半期決算ごとに決算対応で約1ヶ月間がプロジェクトのために使えないとすると、3月決算上場会社の場合、7月から来年3月まで、9カ月-1ヶ月×3回=6ヶ月しか残されておらず、このわずかな時間をもって対応プロジェクトを進めるしかありません。

さらに、リモートワークの継続・強化や、新型コロナウイルスの影響を踏まえた下期予算修正など、例年以上に対応プロジェクトのための時間確保に障害が多く発生することも予想されており、極力効率的に対応プロジェクトを進める必要があると考えられます。

そこで、今回から6回にわたり、残された期間をなるべく効果的に活用いただけるよう、新収益認識基準対応プロジェクトの進め方について解説してまいります。

まず今回は、新収益認識基準対応プロジェクトとは、具体的には何をするものであるか?を確認するところから始めていきます。

1.新収益認識基準対応プロジェクトとは、具体的には何をするものであるか?

これについては、実は各社で共通する部分と、各社で異なってくる部分があります。

(各社で共通する部分) (各社で異なる部分)
① 自社の取引内容の分類整理
② 新収益認識基準のあてはめ
③ 自社における会計処理方針(案)の決定
④ 監査法人との合意
⑤ 新会計処理の規定化
① 保持すべきデータの見直し
② システムの改修
③ J-SOX関連統制文書の変更
④ 取引条件の見直し
⑤ 社員教育・子会社教育の実施
⑥ 業績評価、管理会計制度の見直し

(各社で共通する部分)は、新収益認識基準に対応した会計処理を決定することであり、狭義の「対応プロジェクト」と呼んでもよいかと思います。

一方、(各社で異なる部分)は、新収益認識基準の適用年度より、自社で新たに採用することとなる会計処理を実現するために必要となる多方面にわたる取組となり、広義の「対応プロジェクト」と呼べるものです。

2.広義の「対応プロジェクト」と【影響度分析】

(各社で共通する部分)は、会計処理に関する話ですので、取引実態の把握に事業部門の協力を得る必要はあるものの、経理部門で検討時間が確保でき、監査法人に対応してもらえれば、何とか進められるものと思われます。しかし、(各社で異なる部分)については、経理部以外の協力を得る必要があるものが多数含まれています。

例えば、新収益認識基準に対応した会計処理を実現するにあたり、システム改修が必要となる場合には情報システム部門との調整が必要となり、J-SOXの3点セットの見直しが生じる場合には、内部監査部門にも変更内容について共有が必要となります。

そういったことを踏まえて、プロジェクトの初期段階で、【影響度分析】や【影響度調査】と呼ばれる概括的な調査を入れることも珍しくありません。この【影響度分析】では、最終的な会計処理の結論までは出せませんが、【影響度分析】を行うことで、新収益認識基準の導入により会計処理の見直しが必要となりそうな取引についてアタリをつけ、新しい会計処理に必要となるデータや見積等の追加作業を想定することができます。

十分な時間の確保ができない場合であればこそ、「アタリをつける」「想定する」ことで、早め早めの他部門への横展開や監査法人協議の優先順位付けを行うことが重要となります。

3.(各社で共通する部分)=会計処理の決定過程での留意点

次に、(各社で共通する部分)については、どのような点を留意すべきかみていきます。

まず、会社としての会計処理(案)を決定するにあたって、以下の点を満たしていないと、後日、監査法人との合意を得る際に、再検討を強いられる可能性が高まります。

①自社取引に関する網羅的な検討
②新収益認識基準における論点の網羅的な検証
③新収益認識基準の規定に沿った判断過程の説明

このうち、まず、①と②についてみていきます。

検討ボリュームのイメージとしては、「①の取引種類数」×「②の論点数」で持つことができます。検討ボリュームを圧縮するためには以下の工夫が考えられます。

a) 取引金額に重要性がないものについて検討を省略することで①の取引種類数を減らす
b) 取引内容を明瞭に説明することで、明らかに該当しない論点があることを示し、②の論点数を減らす
c) 新収益認識基準の論点の観点から類似する取引をまとめることで、①の取引種類の数を実質的に減らす

このうち、c)の観点では、新収益認識基準の理解の度合いにより、巧拙に違いがあるため、時間がない場合は、監査法人や外部のコンサルタントの活用を検討されてみてもよいかもしれません。

また、①と②の網羅性の担保に当たっては、監査法人が所定のチェックリスト等を提示するなどにより検討記録の残し方を指定する場合もあり、現時点でその点について監査法人とコミュニケーションが未了の場合は、至急確認を行うことが望まれます。

次回は、「③新収益認識基準の規定に沿った判断過程の説明」についてみていきます。



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