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PPA(パーチェス・プライス・アロケーション)

上場会社(上場準備会社含む)では、他社を子会社化し連結決算に取り組む際に、取得した株式に係る買収価額(パーチェス・プライス)を、各資産に配分(アロケーション)する会計処理が求められています。この処理をPPAといいます。
コーポレート・アドバイザーズ・アカウンティングでは、公認会計士によるPPAの処理に関するサポートを行っております。

PPA(パーチェス・プライス・アロケーション)とは?

PPA(Purchase Price Allocation)とは、M&Aにおいて会社を買収した際の取得原価を、買収した会社の資産や負債に配分する手続のことをいいます。

このときの「資産」や「負債」には、買収した会社の貸借対照表に計上されているものだけではなく、たとえば商品のブランドや顧客リスト、生産技術のノウハウなど、貸借対照表に計上されていないものも含まれます。

このPPAによって、M&Aを実施した会社が買収先のどのような資産・負債を、どのような金額で購入したかが示されることにより、その買収目的が明らかにされるとも言われています。


PPAはM&A後の業績に影響する重要な会計処理

ただ、M&Aにおいて買収する会社の取得原価を検討する際には、通常はその会社の全体の価値を評価することが行われ、個々の資産や負債を明示的に評価することは行われていません。

一方、買収後にグループの決算に取り込む際には、受け入れる個々の資産や負債がいくらであるかを評価しなければならないとされています。ここで特に重要なのが、買収した会社の帳簿に載っていなかった無形資産をどのように把握し評価するかという点です。PPAを検討するといった場合、それは無形資産の把握と評価をどのように行うかを検討することといっても過言ではないでしょう。


2010年以後実施される企業結合から適用が求められる

PPAは、もともとアメリカの会計基準や国際会計基準(IFRS)において適用が求められたルールですが、日本においても2008年12月26日に公表された「企業結合に関する会計基準」において、2010年4月1日以後実施される企業結合から適用が求められるようになりました。

それ以前は、無形固定資産に関する詳細な会計基準が定められていない等の理由により「取得原価を当該無形資産等に配分することができる」ものとされ、任意の扱いとなっていました(2003年10月31日公表「企業結合に関する会計基準」)。しかし、識別可能な無形資産と判断されたものに対し、会計上の扱いに選択肢を残すべきではないとのことから、識別可能な無形資産は原則として資産計上することが求められるようになりました。


日本においてもPPAの検討が重視される傾向に

とはいえ、日本においては会社の買収価格と、その会社の資産・負債との差額である「のれん」を20年以内の期間で償却するというルールとなっているため、仮に「のれん」とされている金額の中に商品のブランドや顧客リスト、生産技術のノウハウといった無形の資産が含まれていたとしても、いずれは償却されてゼロとなってしまうことから、それほどPPAの対応に重点が置かれない環境にあったことは否めません。

しかし、ここ数年は「のれん」とその他の「無形資産」との償却年数の違いや、減損の判断の違いなどから、日本においてもPPAの検討が重視される傾向にあります。M&Aの案件(対象会社の営む事業の性質など)によっては、PPAの検討なしには適切な意思決定が行えない可能性もあるのではないでしょうか。

PPA(パーチェス・プライス・アロケーション)実務上の対応

PPAにおいては、買収先の会社の全ての資産、負債について時価評価することが求められていますが、その中でも最も対応が難しいと思われる無形資産の評価について、一般的な手順を見ていきましょう。

  • Phase.1
  • <情報の収集・整理

  • Phase.2
  • 買収先の会社への確認

  • Phase.3
  • 無形資産の価値算定

  • Phase.4
  • 会計監査対応

1.情報の収集・整理

まず、無形資産のあたりをつけるために

「今回のM&Aは買収先の会社の何を得るために行ったのか」
「買収先の会社の強みは何か」
「買収先の会社が属する業種において通常保有していると想定される無形資産は何か」
といったことを確認します。

その際、役に立つのが買収に関する経営会議資料や稟議書、財務DDや法務DDなどの報告書、買収先と取り交わした契約書その他の書類などです。

また、上場会社がM&Aを行う場合には有価証券報告書にて無形資産の内容が開示されますので、同業の会社を買収する際の参考にすることもできます。


2.買収先の会社への確認

無形資産の種類を例示したリストなどを用意し、買収先が有している無形資産をチェックしてもらいます。

チェックがついた項目については、具体的な内容をヒアリングにより確認し、無形資産として評価する必要があるかどうか、評価する場合にはどのような評価方法がマッチしそうか、などを検討します。

この際、上記(1.情報の収集・整理)であたりをつけておいた内容との整合性についても合わせて確認します。


3.無形資産の価値算定

上記(2.買収先の会社への確認)の検討結果を受け、評価が必要と判断した無形資産について価値算定を行います。

一般的な手法としては、マーケット・アプローチ、インカム・アプローチ、コスト・アプローチがありますが、日本においては無形資産のみを売買する市場がほとんどなく、また無形資産自体も個別性の強いものが多く類似のものが想定しにくいことから、マーケット・アプローチが採用されることはほとんどありません。

実際に価値算定を行う際には、評価対象となる無形資産の内容や、評価に使用できるデータの整備状況などを勘案し、インカム・アプローチ、コスト・アプローチのいずれかの手法を選択し採用することとなります。


4.会計監査対応

会計監査においては主に「無形資産を洗い出す際のプロセス」と「無形資産の評価手続」について確認が行われます。かなり詳細に確認されますので、一連の手順について適切に文書化し記録を保存しておく必要があります。

PPAの手続きはM&A実施後(企業結合日以降)1年以内に完了することが求められていますので、M&Aを行う際にはPPAのスケジュールについても合わせて検討しておく必要があります。

また、M&A実施後に行うPPAのほか、無形資産の償却負担を試算するため、M&A実施前にPPAを行う(プレPPA)ケースもあります。重要な無形資産の計上が予想されるようなM&Aを検討する場合には、プレPPAを行うことが有用と思われます。